マレーシアでの活動に関するコメント

 多民族の小国マレーシアは、21世紀の世界のモデルともいえる国である。それは、民族も宗教も言語も違う人々が、それぞれの持つ習慣や文化を維持し続けることを国の方針として認め、国民がそれを認め合って生きているからである。勿論、日常の中ではさまざまな軋轢がないわけではないが、過去の混乱の経験を克服して、紛争のような事態に至ることを回避しながら平和的に暮らしているからである。多民族多宗教で、お互いがそれを認め合いながら、マハティール首相の提唱する “Caring Society”の構築を国民が国の目標として目指すことは、大きな意味のあることであろう。世界がもし忍耐と工夫を続けるならば、平和な時代が訪れるであろう。福祉活動は平和を目指す活動である。少数の障害をもつ人たちや何らかの福祉ニーズをもつ人たちが、その人らしさを発揮して生きるためには、社会が平和であることが欠かせないからである。

 平和な社会は、福祉社会でもあるはずである。どの社会にも、障害者、高齢者、貧しい人、病める人、親のない子どもなどがいるが、どのような人たちもその人らしさを発揮したいと願っているはずである。それが実現する社会が福祉社会である。福祉社会を構築するためには、一人ひとりが努力することが必要であるが、合わせて、家族や周囲の人たちが互いに助け合うこと、それに対して行政が支援のシステムをつくり財源を確保する公的援助を行うことも重要である。日本の福祉における公的援助は高い水準であるが歴史的に施設整備に偏し、国民が直接の福祉活動から離れた問題点を持っている。マレーシアの場合は、公的援助が極めて遅れており、法的整備をはじめ予算の確保など多くの課題を持っている。今後のためには、日本の反省も含めた経験を提示し、何が本当に求められているかを共に模索しながら協力することが大切であろうと思う。(中澤 健) 

注 マレーシアの現状についての記録は、2003年10月作成したもので、当時のマレーシア首相はマハティールでした。

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