マレーシアの障害者福祉概要-1

 

 マレーシアの公的障害福祉サービスは、登録制によって行われている。これは義務的なものではないが、政府は該当者の登録を奨励している。これは申請書と医師の診断書により簡単に出来るもので、障害種別により登録済みカードは色分けされている。   

 ちなみに、知的障害の場合はピンク、聴覚障害の場合は紫といった具合である。カードの交付を受けると、いくつかの税金の控除減免、マレーシア航空の特別料金、公立病院での医療費の控除、肢体障害者の車椅子などの福祉医療機器購入時の補助金支給、働く障害者で低賃金の場合に障害者手当ての支給などがある。しかし、政府の呼びかけにも関わらず、実際の登録はなかなか進まず、人口約2,200万人の内、全障害者登録数は10万5千人程度で、そのうち知的障害は3万5千人に満たないから、実際の人数よりは相当に少ない登録である。登録数の少ない理由としては、この制度自体のPRの不足もあるが、利用できるサービスが少ないことも(登録してもメリットが少ない)大きな理由であろうと思われる。 

  マレーシアの社会福祉行政は、国家統一・社会開発省の社会福祉局が所管している。障害は、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、知的障害に分かれてサービスが行われるが、内部障害、精神障害は現在のところ障害に含まれていない。先の登録も社会福祉局が行っている。マレーシアの憲法には、その第1条に「全ての国民は平等であり、法の保護を受ける権利がある」とし、続いて、宗教、民族、家系、出身などによって差別されることはないと明記されている。これを受けて政府は、障害者も当然その中に含まれるので、独立した法律を作る計画はないとされてきた。しかし近年、近隣諸国の障害者独立法の制定や「アジア・太平洋障害者の10年」の動き、それらに伴う団体や専門家たちの動きから、従前とは幾分異なった展望が開けてきているようにも伺える昨今である。 

  なお、障害との行政的取り組みは、国家統一・社会開発省社会福祉局の他、障害の予防・早期診断・発見などの所管は保健省、学齢時の学校教育については教育省、障害者雇用については、人的資源省労働局が担当している。いずれにしても、総合法がないため、各担当部局や公民の共同による方針や声明によるところが多く、全体的整合性に乏しいといわざるを得ず、予算化出来なければ 単に奨励で終わってしまう心許なさがある。また、学齢児童の教育についても、日本と同じ意味での義務教育制度は一般児童についてもなく(近く初等教育の義務化は計画されているが)、ましてや日本では既に当たり前になった公的全員就学という発想はなく、単純な日本との比較は余り意味がない。国民の教育への関心はかなり高く、実質就学率は高い水準にある。一般公立学校での障害児の受け入れも試みられているが、現状ではいわゆる「教育可能」(educable)の児童が対象であり、他のほとんどの障害をもつ子どもたちは在宅かNGOの取り組みに任されているといって良い。(聴覚障害児及び視覚障害児については、既に古くから政府の学校がある。) 

  連邦政府社会福祉局が直接行っている障害者施策としては、身体障害者を対象とした職業訓練センターが3カ所、知的障害者を対象とした居住施設が5カ所(リハビリテーション部)である。社会福祉局が積極的に推進しているものに、PDKプログラムがあるので、次頁でにこれについて述べることにする。  

Pages: 1 2

商業音楽の音楽賞